戦略的原価計算V
活動基準原価計算
製品などのアウトプットを生み出すためには、材料の発注や加工など、
様々な活動が必要となり、各活動には経済的資源の消費が伴う。
活動基準原価計算とは、その活動ごとに経済的資源の消費額(原価)を集計し、
各活動から原価計算対象たる製品やサービスなどへ原価を割り当てる
原価計算システムである。
- 活動基準原価計算が登場した背景
- 活動基準原価計算の目的
@製造間接費発生形態の変化
近年の製造企業は、少品種大量生産から、消費者の価値観、嗜好の多様化に
あわせた多品種少量生産へ移行している。
製品の多様化や遺産ロットの少量化は、製造工程を複雑化させ、
製造間接費の構成に大きな変化をもたらした。
すなわち、設計、保守、マテハンなど、生産量の多少よりも、作業や業務活動の
多様化と深い関わりを持つ原価が増加したのである。
A伝統的な原価計算における配賦計算の妥当性欠如
伝統的な原価計算では、製造間接費は部門別に分類・集計され、生産量などを
配賦基準として製品に配賦された。したがって、大量生産品と少量生産品が
混在する状況では、実際には手間のかかる少量生産品に対して少額の製造間接費が
配布され、手間のかからない大量生産品には本来負担させるべきではない多額の
製造間接費が配布されることになり、製品原価を著しく歪めてしまうことになる。
活動基準原価計算では、配賦基準として活動の利用量を用いることにより
製造間接費を製品へ適切に負担させる。
その結果、伝統的な原価計算にみられる製品原価の歪みを正すことができる。
また、活動基準原価計算によれば、販売費および一般管理費も可能な限り
製品へ直接跡づけることができ、正確な製品別収益性分析が可能となる。
お問い合わせフォーム